先日、子供の夏休みに合わせて実家の延吉に行ってきました。仕事や育児の関係で、数年ぶりの帰郷でしたが、故郷の変貌ぶりには眼を見張るものがありました。
まず、到着したのが夜だったのですが、幻想的な夜のイルミネーション、ここが本当に延吉?!と思えるほどきれいだったのです。後で聞くと、去年2012年延辺朝鮮族自治区設立60周年を期に、町全体が一気に整備されたようです。
それから乗ったタクシー。ピカピカの新車両に変わっていて、乗心地も以前よりよくなっていました。それにタンクシーの運賃は、なんと十数年前と同じ5元からのスタート!!駅前から実家まで5元で来れましたことには一種の感動を覚えました。
また、来るまで知らなかったのですが、延吉の空気品質は中国全土でも屈指のレベル。「霧」の都市北京からきたこともあって、新鮮な空気が何よりも有難かったのです。久しぶりに思いっきりきれいな空気を吸うことができました。
そして週末は親戚一同で山登り。小さい頃、窓を開けるといつも見えていた「帽児山」、その頃は無名の小さな山だったのですが、近年健康志向の台頭に伴い、登山客が目にみえて増えているとのことです。親戚の中にも毎日山登りをしているおじさんが二人いて、その日はお二人が案内をしてくれました。
山の入り口まで来ると、平地と空気が違うのに気がつきます。山の中のマイナスイオンですが、市内は1cm3あたり数十個なのに対して、山の中は1万個と聞いて驚きました。帽児山にはおよそ数十種類の樹木が植えられていましたが、主に1960年代に植えられた木々で、特に赤松と黒松が多く、生い茂った森にはリスが元気に走り回っていました。植えて以来しっかり保護され、伐採が一切許されなかったので、一旦森の中に入るととても涼しく、カンカン照りつける真夏の太陽が嘘のようでした。
そして、この「帽児山」、当時学校のサッカー選手だった父が高校生の頃、毎日学校から走って往復していたというくらい、市内から近いのです。バスに乗って20分ぐらいで近くまで来れるという近さが、登山客にはものすごく有難いようです。私も延吉にいたら本当に毎日山歩きをするだろうと思いました。山に入った途端の心が開けてくるような心地よさ、松葉で覆われた柔らかい道、小さい海老が泳いでいる冷たくて体にしみわたるようにおいしい湧き水、北京に戻った今も鮮烈に覚えています。同時に自分の故郷はこんなにも住みやすいところだったのだと再認識させられました。老後の棲家を延吉にするのも悪くないなと本当に思うようになりました。
そんな故郷も高齢化が危ぶまれていて、数十年後どうなるのか、その未来が決して明るいわけではありません。故郷というのは、遠く離れていてこそ、恋しく感じられ、帰ってみたいと思わせる存在かもしれませんが、私が知らないところでしっかりと時代とともに歩んでいて、その結果、よりよくなっていたのだと、内心感動しました。そして故郷を守ってくれた人達に感謝の気持ちでいっぱいです。